木口木版画。「Abracadabra」2020 20X15(10.5×8.5)cmが、できるまで。版木を彫る過程をまとめました。
現在、横浜の岩崎ミュージアムでのグループ展に出品している作品の一つです。
「Abracadabra」2020 木口木版 20X15(10.5×8.5)
動画は、iPhoneのタイムラプスで撮影しています。そのため早送りな感じ。
動画のタイトルと、簡単な内容
- トレッシングペーパーに描いた下絵を版木に写して彫る
- 1回目の試し刷りを見ながら彫り進める
- 消しゴムで下絵を消す
- クロッキー帳の紙で試し刷り
- 2回目の試し刷りを見ながらさらに彫る
- ストーンパウダーをつめて彫りの確認。
- だんだん彫れてきた。版画の中の動物は何を彫っているのか?
- 私と版画のなかの動物。どちらが版画を彫っているの?
その1
トレッシングペーパーに描いた下絵を版木に写して彫る
木口木版の彫り。彫り始めの様子です。
トレッシングペーパーに描いた下絵を版木に写しています。
丸い版木にくっついている紙が、下絵です。
この制作時には、さらに筆ペンで直接版木に描き込んでいます。
下絵を目安に、描きながら彫っている様子。
途中トレッシングペーパーに描いた下絵をパタパタさせて、どうしようかなあと考えながら彫っています。
最後もう下絵の紙はいらないかなあと考えて、外しています。
その2
1回目の試し刷りを見ながら彫り進める
木口木版での彫りの様子:その2
画面上に置いているのは、1回目の試し刷り。
これを見ながら彫っていきます。
彫り過ぎてしまうことが多いので、途中何度も試し刷りしながら、彫ることを進めていきます。
木口の版画を彫っている様子を撮影したのは初めて。
版木を回しながらビュランで彫っていきます。
わかっていますが、意外にくるくるまわして彫っているんだなあ~と。 自分でも改めて再確認。面白い。あ、早送りでの撮影だから早いのかもですが。
その3 木口木版制作 版木の彫り
さらに、試し刷りを見ながら彫っていきます。
だんだん彫り進めていくと、下絵の墨線が気になってきます。
彫ることの邪魔になってきたので、消しゴムで消して綺麗にしています。
使用しているのは、普通のプラスチック消しゴム。
このやり方は、京都の木口木版作家さんに、教えていただいた方法です。
油性のインクが綺麗に落ちます。
インクは灯油や、リグロインなどでは取らない方がいいと思います。
細かい彫りの隙間に、インクが入り込んしまうから。
消しゴムか、紙ガムテープで取ります。
その4 クロッキー帳の紙で試し刷り
2回目の試し刷りをします。
油性インクをローラーにつけて、版木に薄く何度も転がしてインクをのせていきます。
こまかい彫りカスなどが、版木の版面にくっついていると、黒いダマができてしまいます。
また摺っている間に、版木に傷がついてしまうので、する前に版木を綺麗にします。
ガムテープで、余計な木屑をとったり。 また柔らかい刷毛で、こなを取り除いたりしています。
私は試し刷りの紙には、私はクロッキー帳の薄い紙を使っています。
雁皮紙など本番用に紙は高いので。
私の彫りはそんなに細かくなく、あっさりなため意外に上手くすることができます。
その5
2回目の試し刷りを見ながらさらに彫る
木口木版での彫り。2回目の試し刷りを見ながら、彫り進めている様子です。
彫り初めからの連続動画の5回目。
左下のチョコレートの缶のなかには、ストンパウダーが入っています。
お菓子ではありません〜。
自分でもこんな感じに版木をくるくるまわして彫っているんだなあ~と。ま
あ早回しに取れる映像だからでしょうが、、。
実際にもこんなスピードで取れたら楽しいだろうなあ。 改めて面白い。
実際は、休み休み。すこし時間をあけて彫っています。
その6 ストーンパウダーをつめて彫りの確認。
試し刷りの紙を見ながら彫っています。
今回の版画作品はひし形のビュランだけで彫っています。
あ、一部彫刻刀を使用しています。細い丸刀。
これは、白い部分を彫るために使っています。(動画では撮っていないときに使っているかも)
左側のチョコの空き缶に入っている白い粉はストーンパウダーです。
彫り後に詰めると、彫ったところが白く見えます。
どこを彫ったかを確認できます。
動画の最後の方で、筆ペンで版木に印をつけています。
私は彫りながら絵を描くように彫っています。
そのため彫りながら修正しながら作っています。 ちょっと画面から外れた撮影になってしまったなあ。。。
木口木版。彫り初めから連続動画の7回目。だいぶ彫れてきました。
手の動きも遅くなっています。(考えながら彫っているからかなあ。)
版木の線が白いのは、ストーンパウダーを彫った後に詰めているから。
彫り痕が白くて、彫ったところが見やすくなります。
ストーンパウダーが手元にないときは、ベビーパウダーなどを利用しています。 この作品は、犬?動物が木口木版を彫っている姿。(自画像作品です。)
いまこの奇妙な動物は、「何を彫っていることにしようか?」と、最後のところで手を止めつつ考えているところです。
その7
だんだん彫れてきた。版画の中の動物は何を彫っているのか?
その8 私と版画のなかの動物。どちらが版画を彫っているの?
木口木版制作。彫り初めから連続動画の8回目 完成に近づいてきました。
絵の中の動物が彫っている版画は、自分(早川)の顔にすることにしました。 最後の方、じぶんの姿を適当に彫っています。
この作品のテーマは自画像。タイトルは「Abracadabra」にしました。
「アブラカタブラ〜」魔法の呪文です。
絵の中の動物も、動物が彫っているのも私(早川)です。
そんなイメージで彫っています。
動物が彫っている版木から出現しているようにも見える。
絵のなかの版木の中の私(早川)の口から、もやもや〜と出ている感じにもしました。 私は右利きなのです。版画の動物はいまは右にビュランを持っていますが、紙に摺ると、左手ききになります。
どっちがほんとの世界にいるんでしょうか。
動画を改めてみると、自分でもこんな感じに版木をくるくるまわして、 彫っているんだなあ~と。改めて面白い。
動画を撮影してみて感じたこと。
途中撮影していない時もありますが、だいたいの彫っている過程が撮れました。
自分用のメモとしても撮ってみてよかった。
同じところだけ彫ってしまっていたり、先に彫るべきところを後回しにしてしまったり、、。改めて客観的に見れるので発見があるかなあ。
また撮影することで、怠けごごろが出づらくなりました。
集中するというか。人に見せると思うと集中できました。
素人の撮影なので、手元の見え方が、やはり見にくい。
撮影方法なども、見栄えがいいようにしないとなあと思いました。
夜の蛍光灯だと、やはり画面が暗くなる。やはり昼間の撮影かな。
動画の版画は、現在こちらのグループ展で見ることができます。
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第5回 版と表現展 -木口木版画の世界-
第5回 版と表現展 -木口木版画の世界-
2020年1月16日(木)~2月16日(日)
開館時間:9:40~17:30
場所:岩崎博物館(ゲーテ座記念)
入館料 大人300円 こども100円
〒231-0862 神奈川県横浜市中区山手町254
休館日※1月20日(月)、27日(月)、2月3日(月)、10日(月)
16人の木口木版の作家が参加。
各作家の作品が各5点ほど展示されており、木口木版の表現をいろいろ楽しめる展示になっています。
早川純子【HAYAKAWA, junko】版画家:絵本作家
鹿角版画室 :ひっくりかえる版画の世界を探索しに東京にうまれる。
多摩美術大学で版画を学び、現在版画を作りながら絵本の仕事をしています。
主な絵本に、「まよなかさん」(ゴブリン書房)、「はやくちこぶた」(瑞雲舎)、 「どんぐりロケット」(ほるぷ出版)、 「山からきたふたご スマントリとスコスロノ」(乾千恵再話、松本亮監修/福音館書店)など多数。
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こんにちは。このブログ記事を見ていただきありがとうございます。
私はうさぎや鹿など、ちょっと変わった生き物が登場する版画や、絵本を作っています。
鹿角版画の《鹿角;しかつの》は、鹿のツノをアンテナに見立てて、名付けました。
頭につけたアンテナで、ワクワクのタネを受けながら作品をつくり、 それがどんどん世界につながっていく。そして新しい出会いにつながり、またワクワクな作品を作っていけたらと考えています。
のんびりよろしくお願いいたします。
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